映画史上における世界最初の吸血鬼映画。
1897年に出版されたイギリス人作家ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」をもとに、画家・建築家また交霊術師のアルビン・グラウが設立したプラーナ=フィルムによって1922年に製作。ホラー映画の原点として、その後の吸血鬼映画に大きな影響を与えた本作は、まさにF.W.ムルナウ監督による名作として語り継がれてきた。その映像美と緻密な空間構成、計算された光と影の視覚効果は、一世紀を経てなお見るものを驚嘆させるだろう。
本バージョンはムルナウ財団が最新の技術で復元した2Kリマスター/ドイツ語・オリジナル版(2022年オリジナル・サウンドトラック)である。
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北ドイツの町ヴィスボルグ。不動産業を営むクノックは、古城に住むオルロク伯爵からの依頼で従業員フッターを向かわせる。フッターは伯爵が不死の吸血鬼ノスフェラトゥと知り恐怖する。フッターの妻エレンの写真を見て美しさに魅惑された伯爵は、棺に入ってフッターの家へ。ノスフェラトゥの行く先々でペストが発生、ヴィスボルグも死の町と化す。フッターの妻エレンは吸血鬼から町を救うべく、自らをノスフェラトゥに捧げる。
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ムルナウによる本作をロバート・エガース監督が独自の視点で現代に甦らせた『ノスフェラトゥ』(2024)の日本公開が果たされ、本ヴァージョンのBlu-rayが発売されるという好機に本作を特別上映する。本ヴァージョンの日本語字幕翻訳を手がけた渋谷哲也氏によるアフタートークもあわせて、ぜひこの映画史上の傑作をスクリーンで再発見してください。
『吸血鬼ノスフェラトゥ 恐怖の交響楽』Nosferatu – Eine Symphonie des Grauens
1922/Greman/94min
スタンダードサイズ/モノクロ(染色版)/サイレント(音楽:ステレオ2ch)/ドイツ語表記・日本語字幕/字幕翻訳:渋谷哲也
出演:マックス・シュレック、グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム、グレータ・シュレーダー、アレクサンダー・グラナック
監督:F.W.ムルナウ
製作:エンリコ・ディークマン、アルビン・グラウ
脚本:ヘンリック・ガレーン
原作:ブラム・ストーカー
撮影:F.A.ヴァグナー、ギュンター・クランフ