山形国際ドキュメンタリー映画祭2023のために来日を果たしたトリン・T・ミンハ監督を迎え、最新作『ホワット・アバウト・チャイナ?』を上映。ポストコロニアリズムとフェミニズムの代表的な思想家としても名高い。アメリカで暮らすベトナム出身の女性として、人種、民族、ジェンダー、階級、歴史、メディウムなど、様々なアイデンティティを問い直す作品は、見る者を新たな思考へと誘う。
上映作品紹介
ホワット・アバウト・チャイナ?
What About China?
アメリカ、中国/2022/135分
監督:トリン・T・ミンハ
中国南東部で1993、94年に撮影されたHi8ビデオ映像が、30年後の今日、作家自らの手で新たに組み直された。客家の伝統的な円形集合住宅、土楼をイメージの中心に置き、さらに古代の詩や歌謡、水墨画、そして自叙伝や詩、哲学的考察を語る複数の「私」の声が重ねられる。その映像と音響の独特なモンタージュが、中国という国とその社会的変容についての豊かな連想を誘う。農村部の急激な都市化、生活のデジタル化、そしてパンデミックが襲った現代の中国社会。「調和」の概念をキーワードに、その過去と現在、未来を考察する。(提供:山形国際ドキュメンタリー映画祭)
トリン・T・ミンハ
ヴェトナム、ハノイ生まれ。サイゴン(現ホーチミン市)で育ち17歳でアメリカに移住。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で博士号取得。映画作家として、『ルアッサンブラージュ』(1982)、『姓はヴェト、名はナム』(1989)、『愛のお話』(1995)等、全9作を監督。最新作『ホワット・アバウト・チャイナ?』(2022)は山形国際ドキュメンタリー映画祭2023のインターナショナル・コンペティション部門出品作品。作曲家、作家としても活躍。邦訳に『女性・ネイティヴ・他者』(竹村和子訳、岩波書店、1995)、『月が赤く満ちる時』(小林富久子訳、みすず書房、1996)。ブルー・リボン賞(実験的長編部門)、マヤ・デレン・アワード、サンダンス映画祭の審査員ベスト・アワード等、多数の賞を獲得。現在、カリフォルニア大学バークレー校ジェンダー・女性学の教授。
主催:日本映画における女性パイオニア(本イベントは JSPS科研費20H01200 の助成を受けたものです。)