ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選
© Rainer Werner Fassbinder Foundation

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選

上映スケジュール

2023/10/6(金)〜10/26(木)

10/6(金)〜10/12(木) 18:45-『天使の影』(20:30終)

10/13(金)16:50-『不安は魂を食いつくす』(18:25終)
10/14(土)16:50-『マリア・ブラウンの結婚』(18:55終)
10/15(日)14:00-『マリア・ブラウンの結婚』(16:05終)
10/16(月)〜10/19(木) 16:50-『不安は魂を食いつくす』(18:25終)

10/20(金)15:30-『不安は魂を食いつくす』(17:05終)
10/21(土)15:30-『マリア・ブラウンの結婚』(17:31終)
10/22(日)15:30-『不安は魂を食いつくす』(17:05終)
10/23(月)15:30-『マリア・ブラウンの結婚』(17:31終)
10/24(火)15:30-『不安は魂を食いつくす』(17:05終)
10/25(水)15:30-『マリア・ブラウンの結婚』(17:31終)
10/26(木)15:30-『不安は魂を食いつくす』(17:05終)

*10/26終映

料金

通常料金設定

【レクチャー】
10/14(土)16:50-『マリア・ブラウンの結婚』
登壇:渋谷哲也さん(ドイツ映画研究/日本大学文理学部教授)
テーマ:ニュージャーマンシネマの歴史意識
   ーファスビンダ―、オッティンガーはナチスや戦争の過去とどう向き合ったのかー

*本編上映後にトークを行います。
*実施日1週間前より電話予約を受付開始。券売と座席指定は当日先着順。▶予約詳細はこちら◀


【ご注意事項】
*ただいま感染症拡大予防のご案内をしております。▶こちら◀
*諸事情により中止または登壇者が変更になる可能性がございます。あらかじめご了承ください。
*いかなる事情が生じましても、ご購入・お引換後の鑑賞券の変更や払い戻しは致しません。
*無断で撮影・録音を行う、感染症予防対策に準じていただけない等、非常識な行動が見受けられた際は、当方の判断でご退出いただく場合があります。

公式サイト

37年の短い生涯で、強烈な個性に貫かれた40本以上もの作品を手がけ、ヴェンダース、ヘルツォークらと並んで<ニュー・ジャーマン・シネマ>の代表格と称されたライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督。この度、ファスビンダー美学の極致とも言えるふたつの監督作、『不安は魂を食いつくす』『マリア・ブラウンの結婚』、そしてファスビンダーが原作・脚本・出演を務め、スイスの名匠ダニエル・シュミットが監督した『天使の影』の三作が劇場公開。生きるが故の矛盾や絶望、愛するが故の悲しみ、思わず目を背けたくなるほどの人々の剥き出しの姿をスキャンダラスに、時に露悪的なまでに描き切ったファスビンダー。しかしそこに宿る仄かな光まで捉えた彼の眼差しは、美しい劇薬となって画一的な“幸福”を求める我々の心に深い傷痕を刻むだろう。
 
 

ファスビンダーはナチスから戦後に至るドイツ社会の傷を自らに刻むように多くの映画・戯曲を発表した。
その生々しい時代の記録は21世紀の今になっても挑発力を失わない。
むしろ我々の時代がようやくファスビンダー追いついたのかもしれない。
渋谷哲也(日本大学文理学部教授/ドイツ映画研究)

 
 

不安は魂を食いつくす

1974年/ドイツ/93分 © RAINER WERNER FASSBINDER FOUNDATION

 
監督・脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 撮影:ユルゲン・ユルゲス
出演:ブリギッテ・ミラ、エル・ヘディ・ベン・サレム、バーバラ・ヴァレンティン、イルム・ヘルマン
 

夫を亡くした初老の白人女性とモロッコから来た若い外国人労働者。
ふたりはごく自然に惹かれ合って結婚するも、
世間はそれを許さなかったーー。
あまりに美しく残酷な愛の物語、ついに日本劇場初公開。

 

ある雨の夜、未亡人の掃除婦エミは近所の酒場で年下の移民労働者の男、アリに出会う。愛し合い、あっという間に結婚を決める彼らだったが、エミの子供たちや仕事仲間からは冷ややかな視線を向けられる。年齢や文化、肌の色、何もかもが異なる二人の愛の行方は。ダグラス・サーク監督作『天はすべて許し給う』(55)の物語を下敷きに、愛に起因する苦悩や残酷さを鮮やかに描き出した不朽の傑作。ベテラン女優、ブリギッテ・ミラとファスビンダーの愛人であったエル・ヘディ・ベン・サレム(本作の公開直前に事件を起こし服役、後に獄中で死亡。ファスビンダーの遺作『ケレル』は彼に捧げられている)による名演が圧倒的で、アキ・カウリスマキ監督らに影響を与えたとされる。第27回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞。
 

 


 

マリア・ブラウンの結婚

1978年/ドイツ/120分 © RAINER WERNER FASSBINDER FOUNDATION

 
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 脚本:ペーター・メアテスハイマー、ペーア・フレーリヒ 撮影:ミヒャエル・バウハウス
出演:ハンナ・シグラ、クラウス・レーヴィッチュ、ギゼラ・ウーレン、クラウス・ホルム
 

戦争末期の混乱の中で、永遠の愛を誓ったマリアの数奇な人生。
運命に翻弄されながらも逞しく生き抜く女性の姿を、
戦後ドイツの復興とともに描いたファスビンダーの代表作。

 

ファスビンダーの名を世界に轟かせた大ブレイク作にして究極の<女性映画>。第二次世界大戦の真っ只中、マリアは恋人のヘルマンと結婚式を挙げるが、ヘルマンはすぐに戦線に戻り行方不明になってしまう。新たなパートナーとともに戦後の混乱を乗り越えていこうとするマリアだったが……。鳴り響く銃声や爆撃音とウエディング・ドレスのコントラストが衝撃的なオープニングに始まり、鮮烈なイメージが怒涛のごとく押し寄せる究極のメロドラマ。戦争末期からドイツがめざましい復興を遂げる1950年代半ばまでの約10年間にわたるヒロインの生き様が活き活きと描かれる。波乱万丈な運命を辿るマリアを艶やかに演じたのはファスビンダー映画常連のハンナ・シグラ。本作で第29回ベルリン映画祭銀熊賞を受賞した。
 

 


 

天使の影

1976年/スイス/101分 © RAINER WERNER FASSBINDER FOUNDATION

 
監督:ダニエル・シュミット 脚本:ダニエル・シュミット、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 撮影:レナート・ベルタ
出演:イングリット・カーフェン、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、クラウス・レーヴィッチュ、アードリアン・ホーヴェン
 

ふたりの男性の間で揺れ動く、ある娼婦の歪んだ愛。
ファスビンダーの戯曲を映像化した『ヘカテ』のダニエル・シュミット監督作、
待望の日本劇場初公開。

 

とある都会の片隅に立つ娼婦リリーは、その繊細な性格から仲間内では浮いた存在。家に帰ればヒモ男ラウールに金をせびられる日々。そんなある日リリーは闇社会の大物であるユダヤ人に見初められるが、次第に破滅願望が強くなっていく。反ユダヤ的とされ非難を浴びながらも、今なお世界中で繰り返し上演されるファスビンダーの戯曲「ゴミ、都市そして死」を、親友でもある『ラ・パロマ』(74)、『ヘカテ』(82)のシュミット監督が映画化。主演はファスビンダーと一時期結婚していたイングリット・カーフェン。露骨な台詞が散りばめられ、絶望に満ちた物語ながら、名キャメラマン、レナート・ベルタが描き出す退廃美に溢れた映像は限りなく素晴らしく、全編に夢のような心地がたゆたう。
 

主催:マーメイドフィルム
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
宣伝:VALERIA