⽬の⾒えない⼈はどうやってアートを⾒るのだろう。
恋⼈とのデートがきっかけで初めて美術館を訪れた全盲の⽩⿃建⼆さん。
その⽇、作品を前に語られる⾔葉を聞きながら「全盲でもアートを⾒ることはできるのかもしれない」と思うようになった。
そして⾃らあちこちの美術館の⾨を叩いた⽩⿃さんは、いつの間にか「⾃由な会話を使ったアート鑑賞」という独⾃の鑑賞法を編み出した。
それは、期せずして、⽬の⾒えるひとにとっても驚きと⼾惑い、そして喜びを伴う体験であった。
本作は、そんな「全盲の美術鑑賞者」の20年を振り返り、
その友⼈たち、美術館で働く⼈々、新たに⽩⿃さんと出会った⼈々を追い、
彼らが紡ぎ出さす豊かな会話を追ったドキュメンタリーである。
⽔⼾から東京、新潟、そして福島へ。アート作品をめぐりながら、⽩⿃さんは渡り⿃のように旅をしていく。
カメラは、その旅路や⾒えない⽇常を追いかける。
そして、⽩⿃さん⾃⾝もデジタルカメラを⼿に持ち新たなチャレンジへ。
すると何かが少しずつ変わっていって……。
答えのない問いを胸に抱えながら、分断の時代を⽣きるわたしたち。
アートの⼒とはなにか。障害とは何か。
⾒えないからこそ⾒えてくるものはあるのか。
異なる背景の⼈々が⼀緒に作品を⾒て、語りあう、その意味とは――。
「⾒える」「⾒えない」、障害と健常、アーティストと鑑賞者といった「線」を超えようとする⼈々。
他の誰にもなれない孤独な存在同⼠が織りなす「会話」が⽣む、静かな波を映し出す。
2022年/⽇本/107分
出演:白鳥建二、佐藤麻衣子、川内有緒、白鳥優子、森山純子、ホシノマサハル、岡部兼芳、大政愛、小林竜也 ほか
監督:三好大輔、川内有緒
アニメーション:森下征治、森下豊子(Mrs. Morison)
音楽:佐藤公哉、権頭真由(3日満月)
サウンドデザイン:滝野ますみ(neonsound Inc.)
題字:矢萩多聞 文字デザイン:高野美緒子、山田眞沙美
制作補:新谷佐知子(MOVE Art Management)、三好祐子(ALPS PICTURES INC.)
製作・配給:ALPS PICTURES INC.
協力:茨城県近代美術館、大地の芸術祭 NPO法人 越後妻有里山協働機構、水戸芸術館現代美術センター、東京都現代美術館、トーキョーアーツアンドスペース、はじまりの美術館 ほか