日時2020.9.12(土)
『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』渋谷先生レクチャー
9/4(金)より2週間上映となるフランソワ・オゾン監督最新作『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』上映に際し、ドイツ映画研究者の渋谷哲也先生にレクチャーをしていただきます。今回は現在の状況を鑑み、リモートでの実施となる予定です。先んじて本作についての渋谷先生のTwitterでのコメントをご紹介します。
教会や警察やメディアの腐敗・陰謀を描くありきたりなサスペンスに逃げないというのは紹介記事で知っていたが、草の根の力をこれほど正攻法で描く作品とは驚き。見事な運動映画だと思う。内ゲバを敢えて描かない潔さ。闘いは続く、観客の日常でも。『グレース・オブ・ゴッド』
— Tetsuya Shibutani (@Tshibutani) July 30, 2020
かつてオゾンは、70年代のファスビンダーが当時の社会の厳しい風潮の中で同性愛を繊細に扱う戦略を取ったことに言及し、現在はもっと過激にクィアを扱うことができると語っていたが、でもオゾンこそファスビンダーのこの姿勢を誰よりも自分のものにした作家なのではと。
— Tetsuya Shibutani (@Tshibutani) July 30, 2020
『グレース・オブ・ゴッド』で真に衝撃的なのは、映画中で少年に性虐待した神父をおぞましい怪物のように見せる演出を一切せず、自身の性愛に引きずられるか弱い人物として描き切ったこと「神の恩寵は皆の下に」。なのに神父に全く同情できない。これこそ的確なハラスメントの描き方だと思う。
— Tetsuya Shibutani (@Tshibutani) July 30, 2020
取り扱うテーマとの向き合い方、映画作家としてのあり方など、近年のフランソワ・オゾンが示すハイレベルな達成の最新形態である本作、ぜひ多くの方に触れていただきたいです。
そして渋谷先生にじっくりレクチャーいただき、その内実について理解を深めたいと思います。
2020年9月12日(土)14:20の上映回終了後
16:50〜(60〜90分程度予定)
登壇:渋谷哲也(ドイツ映画研究/字幕翻訳)
同日『グレース・オブ・ゴッド』上映終了後、フロアを移動して実施します。
同日ないしそれ以前に出町座で本作をご鑑賞済みの方、無料でご参加いただけます。要鑑賞済み半券ご提示。
実施当日の朝から参加整理券を配布します。先着順で、定員に達し次第配布終了となりますので、ご了承ください。
【ご注意事項】
*本イベントはリモートでの実施を予定しております。
*映画の上映に関しては電話予約を受付しております。詳しくは▶こちら◀
**ただいま感染症拡大予防のご案内をしております。▶こちら◀
**いかなる事情が生じましても、ご購入・お引換後の鑑賞券の変更や払い戻しは致しません。
**無断で撮影・録音を行う、感染症予防対策に準じていただけない等、非常識な行動が見受けられた際は、当方の判断でご退出いただく場合があります。
『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』@出町座
▼上映情報はこちら▼
https://demachiza.com/movies/7314
渋谷先生近著ご紹介
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禁忌と狂熱の映画史へ
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