結成38年、日本を代表するパンクバンド the 原爆オナニーズ。キャリア初のドキュメンタリー映画で明かされる真実_。
1982年、名古屋で THE STAR CLUB に在籍していた EDDIE と地元のパンク博士とも言える TAYLOW を中心に結成。38年にわたり名古屋を拠点にパンクロックを演奏し続ける。まさに日本が世界に誇る現役キャリア最長のパンクロックバンドである。バンドは数度のメンバーチェンジを繰り返し、後に遠藤ミチロウが率いる ザ・スターリン や BLANKEY JET CITY に加わる中村達也や Hi-STANDARD の横山健が在籍したことでも知られている。インパクト絶大のバンド名は SEX PISTOLS を文字って付けられたが、“原爆”、“オナニー”と言うワードについて「このバンド名に嫌悪感などの反応を持ち、核・反戦について問題提起が出来れば良い。」と TAYLOW は述べている。メンバーは TAYLOW(vox)、EDDIE(bass guitar,vox)、 JOHNNY(drums)、SHINOBU(guitar)。活動の拠点は結成以来、地元愛知に拘り、当時は当たり前であったプロになる事は目指さずに定職を持ち、そして 60 歳を超えた今でもパンクロックをやり続けている。キャリア初となるドキュメンタリー映画『JUST ANOTHER』では、これまで語られる事のなかったバンド内部の真実が本人たちによって遂に明かされる。
どうしても記録しなくてはならなかった、ベテランバンドだけが辿り着いた境地。
映像作家、大石規湖(のりこ)は地下レーベル Less Than TV 主宰の谷ぐち順、YUKARI、共鳴の家族とその仲間たちに密着したドキュメンタリー映画『MOTHER FUCKER』(2017年)で映画監督デビューを果たし、次回作の構想を練っていた。2018年9月名古屋の“今池まつり”で老若男女を熱狂させている地元が誇るパンクバンド“the 原爆オナニーズ”のライブを目撃する。その衝撃は彼女に彼らの活動を記録することを即座に決断させた。彼女が興味を持ったの単純ないくつかの疑問だった。なぜこのバンドは愛知県を拠点にし続けているのか。なぜバンドに専念しないで仕事をしているのか。なぜ60歳を過ぎて今なお激しいパンクロックに拘っているのか。それだけだった。日頃から若いバンドが活動と生計の両立に苦しむ姿を目の当たりにしているからこそ、どうしても知りたい興味が湧いたのだ。しかし密着を始めると次第に浮き彫りになってきたのは、メンバー同士では決して口に出さない互いへの揺るぎない信頼、バンドと言う奇跡のバランス、そこにしか存在しない唯一無二の正義…。バンドの内部でしか知る由も無い事実が次々に浮かび上がって来た。そして、なぜ彼らが40年にわたりパンクロックを続けられるのか、その理由が少しだけ分かってくるのだった。このドキュメンタリーはすべてのバンドマンに活動し続けるヒントを圧倒的なパワーで届けるだけでなく、未曾有のコロナ禍の中で日常を奪い去られても生きていかなくてはならない我々に、それでもやり続ける力を与えてくれるに違いない。
the 原爆オナニーズ
日本を代表するパンクバンド《the 原爆オナニーズ》。1982年、名古屋で《THE STAR CLUB》に在籍していた EDDIE と地元のパンク博士とも言える TAYLOW を中心に結成。1983年、ドラマーTATSUYA(中村達也 ex. BLANKEY JET CITY)とギタリスト良次雄(現 GOD)が 《ザ・スターリン》に参加するために脱退、直後にギタリスト SHIGEKI とドラマー MAKOTO が加入。84年には自らのレーベル“ティン・ドラム”より<JUST ANOTHER><NOT ANOTHER>の2枚のEPをリリース。これらには現在でもライブで演奏されている「発狂目醒ましくるくる爆弾」「NO NO BOY」「LIFE IS A GAMBLE」などの代表曲が収録されている。85年には《ザ・スターリン》を脱退し《GOD》に参加していた TATSUYA が復帰し、アルケミー・レコードより1stアルバム<NUCLEAR COWBOY>をリリース。このアルバムにも現在でもライブで演奏される「FUCK ALL」などが収録。日本のパンクロック史を代表する作品となっている。86年に再び TATSUYA が脱退し現ドラマーの JOHNNY が加入、TATSUYA は《THE STAR CLUB》に参加。87年にはノイズバンド《非常階段》との合体ユニットのライブを敢行。音楽性の懐の深さを見せつける。同年“ティン・ドラム”からミニ・アルバム<パンクロックの素晴らしき世界>をリリース。88年には初期EPや1stアルバム、未発表テイクなどを編集した
JUST ANOTHER
2020年/日本/90分
配給:SPACE SHOWER FILMS
出演:the 原爆オナニーズ〈TAYLOW、EDDIE、JOHNNY、SHINOBU〉
JOJO 広重、DJ ISHIKAWA、森田裕、黒崎栄介、リンコ 他
ライブ出演:eastern youth、GAUZE、GASOLINE、Killerpass、THE GUAYS、横山健
企画・制作・撮影・編集・監督:大石規湖
宣材写真:菊池茂夫