第79回カンヌ国際映画祭コンペディション部門出品の最新作『急に具合が悪くなる』公開に際し、前作『悪は存在しない』(2023)までの濱口監督作品をスクリーンで辿ることのできる特集上映です。
【本特集に寄せて】
「映画っつーのは、映画館で見るもんです」
これは今からはや18年前、自作『PASSION』のユーロスペースでの1日限りの上映における舞台挨拶で、出演者の一人、渋川清彦さんが口にした言葉だ。聞いた当時も「そうだそうだ」と思ったものだが、ここまで反芻する言葉になるとは思わなかった。
今年、6/19に予定されている新作の『急に具合が悪くなる』全国公開に合わせて、色々な劇場で、過去作の特集上映を組んでいただけることになった。こんなにありがたいことはない。どの作品もいつか、どこかで、誰かが見たらいい、ぐらいのことしか考えてはいなかったけれど、唯一、できれば映画館で見て欲しいと願っていた。そうでないと自分の映画は、きっとあまり面白くないと思う。
気づけば四半世紀、それなりに闇雲に、言ってみれば愚かに、映画づくりを続けてきた。過去作のどの作品にもどこかしら、新作『急に具合が悪くなる』との類似点を見つけられるだろうけれど、それだけでなく、過去作同士が驚く(呆れる)ほど、似た相貌を示すこともある。それは単純に「ほかに手が思いつかない」という能力の限界を示すものだし、「次こそは、もっとうまくやれるかも知れない」と自分に期待をかけ続けた結果でもある。どの作品づくりも、自分の新たな愚かさを発見する旅だった。そんなものに付き合ってくれた、すべてのキャストとスタッフに、ただただ御礼を申し上げたい。もちろん、こうして映画を上映いただくすべての劇場、そして、そこまで来てくれる観客のあなたにも。本当に、ありがとうございます。
どうか、いい出会いがたくさんありますよう。
濱口⻯介
【上映作品】
『何食わぬ顔(long version)』2002
『PASSION』2008
『永遠に君を愛す』2009
『THE DEPTHS』2010
『親密さ』2012
『なみのおと』2011
『なみのこえ 新地町』2013
『なみのこえ 気仙沼』2013
『うたうひと』2013
『不気味なものの肌に触れる』2013
『ハッピーアワー』2015
『天国はまだ遠い』2016
『寝ても覚めても』2018
『偶然と想像』2021
『ドライブ・マイ・カー』2021
『Walden』2022
『悪は存在しない』2023
濱口⻯介監督特集《突然、偶然、必然》
主催:NEOPA
配給協力:コピアポア・フィルム
協力:Incline、Sunborn、ENBU ゼミナール、サイレントヴォイス、ビターズ・エンド
【本特集に寄せて】