名美と村木、愛の無間地獄が
令和の今再び、スクリーンで咲き乱れる!
1970年代より、名美と村木の悲しい愛を描いた『天使のはらわた』の劇画家として人気を博し、日活ロマンポルノでは『赤い教室』(79年/監督:曽根中生)、『ラブホテル』(85年/監督:相米慎二)などの脚本も手がける。そして『天使のはらわた 赤い眩暈』(88年)で自身も映画監督デビューを果たす。その後も『死んでもいい』(92年)、『ヌードの夜』(93年)などを脚本・監督し、“名美と村木”という女と男の愛の姿を、性愛と暴力を通して、叙情的に、かつ情熱的に描き上げた。『死んでもいい』は第33回テッサロニキ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞し、国際的な評価も得た。
また『GONIN』(95年)ではこれまでの男女の物語要素を抑制し、社会に行き詰った5人の男たちが仕組んだ強盗計画の顛末を、壮絶なバイオレンスアクションで描き新境地となった。その後も『黒の天使』シリーズ、『花と蛇』シリーズ、遺作となる『GONINサーガ』まで、唯一無二の美学と世界観で世界を魅了し続けた。
竹中直人、根津甚八、鶴見辰吾、柄本佑、余貴美子、大竹しのぶ、夏川結衣、川上麻衣子など、石井監督の作品に常連で出演する俳優も多く、石井隆監督による世界線はどこか地続きで、普遍性を持ちながらも、作品それぞれが強烈な個性を放ち、エネルギーに満ち溢れている。
今回の上映作品は、『死んでもいい』(92年)、『ヌードの夜』(93年)、『夜がまた来る』(94年)、『天使のはらわた 赤い閃光』(94年)の4本。88年の監督デビュー作の『天使のはらわた 赤い眩暈』から3本目が『死んでもいい』となるため、映画監督としては初期にもかかわらず、すでに映画監督の成熟期と言っても過言ではない傑作ばかりである。これまで複雑な権利関係によりまとめて上映される機会が少なかった4作品であったが、HDリマスター版で初のスクリーン上映がついに実現する。石井隆が愛し、描き続けてきた運命の女(ファム・ファタール)=名美を、大竹しのぶ(『死んでもいい』)、余貴美子(『ヌードの夜』)、夏川結衣(『夜がまた来る』)、川上麻衣子(『天使のはらわた 赤い閃光』)がそれぞれどのように演じているのか。すでにかつてご覧になった方も、はじめて石井隆作品に触れる方も、是非スクリーンで浴びまくってください。
没後3年 特集上映 「石井隆Returns 初期監督作4本 HDリマスター版上映」
■上映作品:『死んでもいい』 『ヌードの夜』 『夜がまた来る』『天使のはらわた 赤い閃光』