売られる子どもをなくしたいと日本を飛び出した
「一人 NGO の OKA」こと栗本英世のカンボジアでの苦闘の記録
イントロダクション
東南アジアで「ひとり NGO」として活動し、2022年に71歳でこの世を去った栗本英世の人生を、生前の彼の映像や関係者の証言でひも解く。人身売買や地雷の危険にさらされた人々を支援し、子どもの教育のため草葺きの寺子屋を立てるなど各地を奔走した栗本。いつも一文なしで、手ぶらで現れることから、いつしか「OKA(カンボジア語でチャンスの意)」と呼ばれるようになった。何が彼をそこまで駆り立てたのか。彼が残したものとは__?
監督は主に近畿圏の民俗行事や芸能を記録し、市民活動やNGOを映像で支援するNPO映像も撮影してきた牧田敬祐。これまでに大峯修験を記録した『峰入』(映文連アワード 2017:部門優秀賞)、日中戦争時代の日本人反戦兵士を描いたドキュメンタリー映画『戦影』(2021)などを手がけてきた。
牧田敬祐監督コメント
内戦終結直後のカンボジア難民の家庭では、子どもたちは物乞いか、子守か、肉体労働でこき使われ、借金でもあろうものならブローカーがやってきて隣国タイに売り飛ばされる。一人NGOの栗本さんは、そんな子どもたちを寺子屋に来させて、守ろうとした。彼の寺子屋はシェルターだったんだ、と気づかされた。栗本さん自身も極貧の家庭に育ち、近所の教会学校に逃げ込んで歌を歌って過ごした。幼い彼にとってそこはあたたかい陽だまりだったに違いない。元スタッフの話では、カンボジアの寺子屋に寄付をもらった時、学用品を買うより、校庭に木を植えた。「涼しい木陰ならこどもたちがずっと遊んでいられるでしょう」と嬉しそうだったという。僕は栗本さんがますます好きになった。
2024/Japan/90min
監督:牧田敬祐
挿入歌:友部正人
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活 動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
製作:特定非営利活動法人 映像記録、ウェストサイドプロダクツ