アヌシーもオタワも絶賛!山村浩二の野心的初長編『幾多の北』、待望の日本凱旋公開!
現代に横たわる不安な魂のデトックスを希求する驚異の64分を、ぜひご体験あれ。
山村が若い作家たちをプロデュースした作品も含む3つの驚くべき短編も併映。
『幾多の北』と三つの短編
総上映時間:約88分
上映作品(上映順)
ミニミニポッケの大きな庭で
2022/7分/幸洋子監督・山村浩二プロデュース
観察、記録、実験しながら日々を紡いだ、いとをかしアニメーション詩。NHK Eテレの番組「シャキーン!」の番組内アニメーションも手掛ける幸 洋子(ゆき・ようこ)が、自身の日記を落書きのように大胆にアニメート。自由律俳句のようなテキストと本人マンによる過激な音楽、サラウンドの混淆。「アニメーションってこんなに自由なんだ!」と開いた口が塞がらない衝撃作。
ホッキョクグマすっごくひま
2021/7分/山村浩二監督
すごく暇なホッキョクグマは、広い海で様々な海獣たちと出会う。日本語と英語の言葉遊びで、絵巻物風に描く「海獣人物戯画」。楽しい音楽と歌に合わせて、かわいい墨絵の動物たちがまったりと遊ぶ。
骨嚙み
2021/10分/矢野ほなみ監督・山村浩二プロデュース
父親のお葬式で、少女は父と過ごした最後の夏を思い出す。 光の粒子のようにまたたく点描のレイヤーが映し出す、日本のとある小さな島でのいとなみ。有頂天のPVやアニメ「TRIGUN STAMPEDE」のエンディングアニメーションも手掛ける矢野ほなみが、2年の歳月を費やして紙の表にも裏にも色彩を打ち続け、自身の過去と向き合った一作。
幾多の北
2021/64分/山村浩二監督
ナレーションやセリフもなく、画面に現れるテキストと繊細に動く絵、そして音楽や効果音が巧みにミックスされたサウンドに包まれながら「体感」するアニメーション。音楽を聴くように、展覧会の絵を眺めるように、旅は続く。旧ソ連のタルコフスキーやハンガリーのタル・ベーラなど、ヨーロッパの実写映画作家の時間の流れをも思わせる、堂々たる大作。ポスト3.11、コロナ禍とも共振し、作品に身をゆだねるうちに、観る者それぞれの「北」が立ち上がる。
山村監督が月刊誌「文學界」(文藝春秋)の表紙のために2012年から2014年にかけて毎号描いていたイラストとそれに付随するテキストをアニメーションに発展させたもので、コロナ下での隔離状態の中で一気に完成させた自身初の長編作品。東日本大震災後に彼自身が感じた不安や苦悩が、オランダの前衛ジャズ・ミュージシャンにして作曲家ウィレム・ブロイカー(1944-2010)のどこかサーカス的な音楽に乗せて、断片的なイメージや書かれた言葉で表現されていく。明快なストーリーを持たず、一般に「長編アニメーション」という言葉からイメージされるものとは異なる「行き切った」仕上がりで、その前例のないチャレンジは世界で大きく評価、今年2022年5月に開催された第61回アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コントルシャン部門でクリスタル(最高賞)を、そしてつづく第46回オタワ国際アニメーション映画祭の長編部門でグランプリを受賞するなど、既に国内外で8つの賞に輝いている必見の世界的必見作です。