エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャン、キン・フー、ホウ・シャオシェン、ワン・レン、劇場初公開の「スーパーシチズン 超級大国民」を含む13本一挙上映!そして受け継がれる台湾ニューシネマの系譜。
今回は新しい台湾映画(および拡張する台湾ニューシネマ)の新作を紹介する〈台湾NOW〉も同時開催!
【上映作品】
台北ストーリー
1985年/119分/台湾/監督:エドワード・ヤン/出演:ホウ・シャオシェン、ツァイ・チン、ウー・ニェンチェン
第38回ロカルノ国際映画祭審査員特別賞
80年代なかば、過去に囚われた男と未来に想いを馳せる女のすれ違いが、変わりゆく台北の街並みに重ねられ、やがて思いもよらない結末を呼び込む。
恐怖分子
1986年/ 109分/台湾・香港/監督:エドワード・ヤン/出演:リー・リーチュン、コラ・ミャオ
第23回台湾金馬奨 最優秀作品賞、第40回ロカルノ国際映画祭銀豹賞、第32回アジア太平洋映画祭最優秀脚本賞
台北を舞台に、3組の男女の姿を通して、図らずも他人を傷つけながら生きる、都会人の殺伐たる生きざまを描いた一編。犯罪、いたずら電話、夫婦の不和、不倫といった都会ならではの事象を、鋭敏なタッチで切り取った傑作。
残酷ドラゴン 血斗竜門の宿
1967年/ 111分/台湾/監督:キン・フー/出演:シャンカン・リンホー、シー・チュン、パイ・イン
中国・明の時代。暴政を繰り返す宦官のツァオは、無実の罪でユイ大臣を処刑し彼の子供たちを流刑とした。さらに、復讐を恐れたツァオは刺客を送る。刺客が待ち伏せした宿には凄腕の剣客チュウ兄弟が子供たちを助けるためにやって来る。二人は彼らの父の友人シャオとも協力しツァオの企みを阻む。
侠女
1971年/ 180分/台湾/監督:キン・フー/出演:シュー・フォン、シー・チュン、ティエン・ポン
第28回カンヌ国際映画祭高等技術委員会グランプリ
明時代末期の陝西省。小さな村に母親と暮らし、絵や書を売る書生のグーは美しい女性ヤンと結ばれる。だが、ヤンは政府(東廠)に反旗して処刑された大臣の娘で、一族抹殺された中で唯一生き残った女性だった。政府からヤンの命を狙う刺客を、グーは彼女とその仲間たちを守るために兵法を使って罠にかけるが…。
風櫃の少年
1983年/ 101分/台湾/監督:ホウ・シャオシェン/出演:ニウ・チェンザー、チャン・シー
第6回ナント三大陸映画祭グランプリ、1985年アジア太平洋映画祭最優秀監督賞
澎湖島の風櫃に住む阿清と彼の友人たちは悪戯や喧嘩をして日々を過ごしていた。ある日、対立するグループとの争いが警察沙汰となり、家に戻れなくなった阿清らは高雄に行くことを決める。世界の映画作家に多大な影響を与えた。
ナイルの娘
1987年/84分/台湾/監督:ホウ・シャオシェン/出演:ヤン・リン、ヤン・ファン、シン・シューフェン ★4Kデジタル初上映
第5回トリノ国際映画祭審査員特別賞、第24回金馬奨最優秀音楽賞
母を亡くし、父は遠い町に暮らす孤独な少女、シャオヤン。彼女は「ナイルの娘」という日本の漫画に夢中。兄の経営するレストランで働くアーサンという男に想いを寄せる彼女だったが、ある日アーサンはヤクザの情婦と恋に落ちてしまう…。
青春神話
1992年/ 106分/台湾/監督:ツァイ・ミンリャン/出演:リー・カンション 、チェン・チャオロン
第6回東京国際映画祭ヤングシネマ部門ブロンズ賞
台湾の首都、台北を舞台に、一人の予備校生と周囲の人間関係を通して、現代の台湾社会を独特の抑制された形式で描いた青春群像劇。ツァイ・ミンリャン監督衝撃のデビュー作。
愛情萬歳
1994年/ 117分/台湾/監督:ツァイ・ミンリャン/出演:ヤン・クイメイ 、リー・カンション
第51回ヴェネチア国際映画祭グランプリ(金獅子賞)・国際映画評論家賞、第31回台湾金馬奨最優秀監督賞
現代の台北を舞台に、孤独な男女3人の生き方を、冷徹なカメラワーク、極端に少ない台詞、一切の音楽の助けを借りない俳優たちの陰影豊かで繊細な演技など、抑制された演出でつづった人間ドラマ。
河
1997年/ 115分/台湾/監督:ツァイ・ミンリャン/出演:リー・カンション 、ミャオ・ティエン
第47回ベルリン国際映画祭銀熊賞
台北。シャオカンは街で旧知の女友達と再会。映画スタッフの彼女に誘われ、撮影現場に訪れた彼は、河に浮かぶ死体役に抜擢されてしまう。彼女と一夜をすごした後、彼は首が曲がったままになる奇病にかかっていた・・。
台湾ニューシネマ、幻の傑作劇場初公開!4Kデジタル
スーパーシチズン 超級大国民
1995年/120分/台湾/監督:ワン・レン/出演:リン・ヤン、スー・ミンミン、コー・イーチェン他
第22回台湾金馬奨 最優秀主演男優賞・最優秀音楽賞、第45回ベルリン国際映画祭正式出品、1996年イタリア リミニ映画祭グランプリ、第8回東京国際映画祭コンペティション部門出品
1950年代、戒厳令と白色テロの時代。若き大学教授コー・ゲーシン(許毅生・キョさん)は政治的な読書会に参加したことを理由に逮捕される。投獄されたコーは、拷問に負け友人タン・チンイツ(陳政一・チンさん)の名前を明かしてしまい、その結果タンは死刑に処せられコーは無期懲役になる。30数年後、戒厳令が解かれ出所して施設で暮らすコーはタンの処刑を自分のせいと思い頭から消えない。ある日、陳の夢を見たコーは、施設を飛び出し、タンに謝罪しようとタンの墓を探すために旅に出る。その痛ましい過去は、発展する現代の台湾では跡形もなく消え去っているのを感じながらもコーは捜し続ける。ホウ・シャオシェンとともに『坊やの人形』に参加(第3話「りんごの味」を監督)し、エドワード・ヤンらとともに台湾ニューシネマを牽引したワン・レンの代表作が4Kデジタル復元で甦る。扱われているのはホウの『悲情城市』と、ヤンの『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』の間の時代であり、ホウの『好男好女』と重なる時代である。日本での劇場公開は今回が初となる。
ウェディング・バンケット
1993年/108分/台湾・米/監督:アン・リー/出演:ラン・シャン、ウィンストン・チャオ
第43回ベルリン国際映画祭金熊賞、第30回台湾金馬奨 最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀助演男優賞・最優秀助演女優賞、第51回ゴールデングローブ賞 外国語映画賞および第66回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート
ゲイの青年が偽装結婚したことから巻き起こる悲喜劇を、シニカルかつ感動的に描いたコメディ・ドラマ。ゲイであることを両親に隠し、恋人の男性・サイモンとマンハッタンで暮らす偉同はグリーンカードを欲しがっている女性・威威と偽装結婚することに…。
藍色夏恋
2002年/84分/台湾・フランス/監督:イー・ツーイェン/出演:グイ・ルンメイ、チェン・ボーリン、リャン・シューホイ ★4Kデジタル初上映
17歳の少女モンは、親友のユェチェンに頼まれて水泳部のチャンにラヴレターを渡すが、チャンは、モンに恋をしてしまう。モンに告白するチャンだったが、頑なに心を開かないモン。彼女が恋心を抱いているのは、実はユエチェンだったのだ。グイ・ルンメイ、チェン・ボーリンのデビュー作。
あの頃、君を追いかけた
2011年/110分/台湾/監督:ギデンズ・コー/出演:クー・チェンドン、ミシェル・チェン、スティーブン・ハオ
第13回台北映画祭観客賞、第48回金馬奨最優秀新人俳優賞、第31回香港電影金像奨最優秀中国大陸・台湾映画作品賞
1990年代、台湾中西部の町・彰化。男子高校生コートンは、悪友たちとつるんでくだらないイタズラで授業を妨害しては担任を困らせていた。そこで担任教師は、優等生の女子生徒チアイーを監視役としてコートンの後ろの席に座らせることに。コートンは口うるさいチアイーをわずらわしく感じながらも、次第に彼女にひかれていく。2017年日本で山田裕貴と齋藤飛鳥(乃木坂46)の共演でリメイクされた。
★関連特集〈台湾NOW〉にてギデンズ・コー監督最新作『怪怪怪怪物!』上映!(1/19〜25、2/2〜2/8)
関連企画:台湾NOW
台湾巨匠傑作選と同時に開催!台湾映画の最新話題作、台湾から出て国際共同制作に臨む監督作、そして日本から台湾の現代史を新たな角度から見つめる野心作。台湾ニューシネマは更に拡張し、新たな貌(かお)を見せている。今だからこそ、ニューシネマの巨匠作品とともにこれらもあわせて観ていただきたい。
アウトゼア
2016年/日本・台湾/125分
South Taiwan Film festival(南方影展) 最優秀新人作品賞
監督:伊藤丈紘 脚本:伊藤丈紘、馬君馳(Ma Chun Chih)
撮影:佐々木靖之/録音:藤口諒太/編集:伊藤丈紘/音楽:アレクサンドラ バルコフスカヤ/製作会社:EYES FILMS
キャスト:馬君馳(Ma Chun Chih)、小林晴夫、北浦愛、服部竜三郎、瀬戸夏実
★1/19(土)1回限定上映&伊藤丈紘監督トークあり。
映画監督である晴夫は、台湾で撮影予定の新作が資金難のため制作中断となり、撮影済のテストフィルムだけが手元に残った。 晴夫は映画制作を再開させようとシナリオを書き直し、新しい俳優探しを始める。そんな中、晴夫はオーディションに応募してきた台湾人青年、馬と出会う。台湾と日本を舞台に、前半部の映画づくりの様子や監督と青年との対話が、やがて台湾現代史を背景にした家族の記憶、そして「いまここ」で生きる青年の実人生の姿へとつながり、渾然一体に映し出されていく。過去と現在、ドキュメンタリーとフィクションが越境していく可能性を見つめた作品で、マルセイユ国際映画祭を皮切りに、ロッテルダムやトリノなど世界各地の映画祭で上映され注目を集める。本作が生まれるきっかけともなった映画監督エドワード・ヤンについての台湾関係者への取材インタビューが、2017年に発売された「エドワード・ヤン 再見/再考」(フィルムアート社)において発表されている。南台湾映画祭で最優秀新人賞を受賞した、過去と現在を結びつける、来るべき新世代の映画。
怪怪怪怪物!
2017年/台湾/北京語/110分
監督/脚本:ギデンズ・コー(九把刀)
出演:トン・ユィカイ、ケント・ツァイ、ユージェニー・リウ、チェン・ペイチー、ジェームズ・ライ、タオ・ボーメン、リン・ペイシン
★1/19(土)〜25(金)/2/2(土)〜2/8(金)特別ロードショー!
『あの頃、君を追いかけた』のギデンズ・コー監督最新作で、口コミでじわじわと「傑作!」とその評価が広がりつつある話題作。ギデンズ・コーのオリジナル脚本による学園ホラーで、いじめっ子グループとその下僕にされている主人公の少年が偶然に2匹のモンスターと遭遇、“小さい方の”モンスターを捕獲し、奇妙な実験の日々が訪れる。学園カーストの中でモンスターが介入することで、やがて事態は大きな展開を迎える。
夏、19歳の肖像
2017年/中国/105分/原題:夏天十九岁的肖像 EDGE OF INNOCENCE
配給:マクザム/配給協力・宣伝:フリーマン・オフィス
監督:チャン・ロンジー『共犯』『光にふれる』
原作:島田荘司(「夏、19歳の肖像」文春文庫刊)
出演:ファン・ズータオ、ヤン・ツァイユー、リー・モン、カルビン・トゥ、チュウ・チーイン
★1/26(土)〜2/1(金)特別ロードショー!
日本のミステリー作家・島田荘司の同名小説を中国で映画化。監督は『光にふれる』(2012年/台湾・香港・中国合作)、『共犯』(2014年/台湾)のチャン・ロンジー。ホアン・ズータオ演じる大学生の青年が、病室の窓から見える邸宅にいる美女を望遠鏡で覗いていると、彼女が口論の末に男を刺すのを目撃してしまう。アジア各国からの座組みで組まれた製作体制による青春ミステリー。
【台湾巨匠傑作選ラインナップ】
『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(キン・フー監督/1967年/111分)
『俠女』(キン・フー監督/1971年/180分)
『風櫃の少年』(ホウ・シャオシェン監督/1983年/101分)
『台北ストーリー』(エドワード・ヤン監督/1985年/119分)
『恐怖分子』(エドワード・ヤン 監督/1986年/109分)
『ナイルの娘 4K』(ホウ・シャオシェン監督/1987年/93分)
『青春神話』(ツァイ・ミンリャン監督/1992年/106分)
『ウエディング・バンケット』(アン・リー監督/1993年/108分)
『愛情萬歳』(ツァイ・ミンリャン監督/1994年/117分)
『スーパーシチズン 超級大国民』(ワン・レン監督/1995年/120分)
『河』(ツァイ・ミンリャン監督/1997年/115分)
『藍色夏恋』(イー・ツーイェン監督/2002年/84分)
『あの頃、君を追いかけた』(ギデンズ・コー監督/2011年/110分)
【台湾NOWラインナップ】
『怪怪怪怪物!』(2017年/監督:ギデンズ・コー(『あの頃、君を追いかけた』)/台湾/110分)
『夏、19歳の肖像』(2017年/中国/監督:チャン・ロンジー(『共犯』)/原作:島田荘司/105分)
『アウトゼア』(2016年/日本・台湾/伊藤丈紘監督/125分)