子どもたちが愛国プロパガンダに飲み込まれていく。
僕は、その片棒を担ぐのか?
__ひとりの教師が記録した、今そこにある現実。
ロシア・ウラル山脈の麓の小さな田舎町にあるカラバシュ初等・中等学校。母校でもあるここでイベント企画・撮影担当の教員として勤めるパヴェル・タランキンは、子どもたちから“頼れるお兄さん”として慕われる人気者だ。彼らの何気ない日常や成長の瞬間をビデオカメラに収めながら、オフィスを開放して一緒にアートやおしゃべりを楽しむ、忙しくも穏やかな日々。自由と民主主義、そして自身の職業を心から愛する彼は言う。
「この仕事の魅力は、生徒を支えられること」
しかし、2022年2月のウクライナ侵攻開始を機に、彼らの日常は一変する。プーチン大統領は子どもたちを<未来の兵士>として育てるため、戦争を賛美し参加するよう学校で教え込む「愛国教育」の導入を新たな国家方針として発令。和やかだった学校の雰囲気は、瞬く間に緊迫した「戦時中」のものへと塗り替えられていく__
タランキンは変容していく学校と人々の姿を約2年間かけてつぶさにカメラに収め、デンマークを拠点に活動するアメリカ人ドキュメンタリー作家デヴィッド・ボレンスタインと共同で、極秘裏に本作を制作。当事者視点でプロパガンダ教育を捉えた異例の映像は、世界中で大きな注目と絶賛を集め、アカデミー賞®をはじめ多数の映画賞を受賞した。しかし、その影響力をみたロシア当局は国内での上映禁止を決定。タランキンは国家反逆者として事実上の国外追放を言い渡されるという、徹底的な弾圧にさらされている。
国家はどのようにして反対意見を封じ、戦争へと突き進むのか__いま世界に蔓延する現在進行形の現実を突きつける、必見のドキュメンタリー。
『プーチンの愛国教室』Mr. Nobody Against Putin
2025/デンマーク、チェコ/90min
監督:デビッド・ボレンスタイン
共同監督:パベル・タランキン
撮影:パベル・タランキン
編集:ニコライ・モンベウ、レベッカ・ロンキビスト
音楽:ミハル・ラタイ、ヨナス・シュトゥルク