わたしは 女なのか そうじゃないのか
この気持ちは 恋なのか 友情なのか
揺れ動く 10 代の心を
すべての人の心に潜む
“言葉にならない想い” を
静かな光で照らし出す
石川瑠華(主演)コメント
わたし自身、学生時代に映画の中で描かれているような悩みを抱えていました。そのことを誰にも相談できなかった記憶があります。当時の自分をしっかり肯定できるようになった今、この映画を今悩んでいる誰かに届けたいと思い、オーディションに参加しました。
役をいただいた時、オーディションを受けた時よりも “わからない” と感じました。現場でも、葵という人物について安井監督と日々話し合いました。安井監督はこういう人だと決めつけることはせず、時には少し距離をとって見守ろうとしてくださりました。娘思いだけど不器用なお父さんのようでした。そんな安井監督の映画だったからこそ、わたしは葵に真っ正面からぶつかるようにして役作りをしていったような気がします。
泳ぎの撮影と同じくらい、水中に身を置いている状態の撮影があり、回数を重ねるごとに息はできないはずなのに、「息をしやすい場所だ」と感じることがありました。その感覚は、葵を演じる上でとても大切なものだったと思います。悩みの渦の中にいて、息がしにくいと感じている誰かに、この映画がそっと届いてくれたらいいなと思います。
石川瑠華 プロフィール
1997年3月22日生まれ、埼玉県出身。2017年8月の舞台「SUGAR WORKS」でデビュー。
『猿楽町で会いましょう』(21)の主演・ユカ役を好演。主な出演作に映画『うみべの女の子』(21)、『市子』(23)、ドラマ「君のことだけ見ていたい」「犬と屑」などがある。
安井祥二監督 メッセージ
LGBTQ+ に限らず、悩みを抱えながら生きている全ての人を、肯定できるような作品にしたい──そんな想いを込めて撮影した作品です。同性を好きになるなど、いわゆるマジョリティではない人たちの感情を描いた作品が「 LGBTQ+ の映画」というラベルで特別視されることに、私はずっと違和感を抱いていました。誰かにとってはごく自然で当たり前の感情が、いまだに「普通ではないもの」として扱われてしまうこと自体が、今の社会の空気を映しているようにも思えます。
この映画は、「 LGBTQ+の 映画」という枠組みの中で語られるものではなく、あくまでひとりの高校生が 自分自身を模索していく物語です。主人公・葵の抱える揺らぎは、誰もが日々抱えている葛藤や迷いと、何も変わらないと私は思っています。 “普通” とは何か、“自分らしさ” とは何か。ふと立ち止まって、そんな問いと向き合ってもらえるような、小さなきっかけになれば嬉しいです。
『水の中で深呼吸』
2024/Japan/74min
出演:石川瑠華、中島瑠菜、倉田萌衣、佐々木悠華、松宮倫、八条院蔵人
伊藤亜里子、川瀬知佐子、山本杏、森川千滉、倉林希和里、小西有也、野島透也、池上秀治、しゅはまはるみ
監督:安井祥二
脚本:上原三由樹、岳谷麻日子