ペドロ・コスタ はじまりの刻 1989-1997

上映スケジュール

2025

料金

未定

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そして、映しとること

瑞々しくも激しく、そして鮮烈に___

ポルトガルの鬼才ペドロ・コスタ
初期3作品『血』『溶岩の家』『骨』を
4Kレストア版で劇場初公開!
 

 


 

『ヴァンダの部屋』から25年
『コロッサル・ユース』から19年
世界を驚かせ続けるポルトガルの鬼才 ペドロ・コスタ

その伝説前夜とも言える、漆黒のモノクロが鮮烈な長編デビュー作『血』
“カーボ・ヴェルデ”というペドロ・コスタの後の作品群に繋がる場所がはじめて登場した重要作『溶岩の家』
スラム街フォンタイーニャスに住む人々を起用し、圧倒的なリアリズムで底辺の生活の厳しさを描く『骨』
初期3作を監督自ら監修した4Kレストア版ではじめて劇場公開する。

また、破壊されつつあるフォンタイーニャスを舞台に
そこに生きる人々の営みを強烈な映画手法で描いた
『ヴァンダの部屋』と『コロッサル・ユース』も特別上映
その類まれな軌跡を見つめる――。

 


 

【上映作品】

◉『血』4Kレストア版

英題:Blood 原題:O Sangue
1989年/ポルトガル/ポルトガル語/モノクロ/95min
出演:ペドロ・エストネス、ヌーノ・フェレイラ、イネス・デ・メデイロス、ルイス・ミゲル・シントラ

不安や恐れに苛まれる恋人たち、幻想的な森、黒く光る沼、得体の知れない男たち__
自らが受けた映画史と自国の記憶を色濃く反映し、「ポルトガル映画の最も美しい映画の一本」と激賞されたペドロ・コスタ初の長編作品。

青年ヴィンセントは病に苦しむ父親を安楽死させ、墓地に埋める。父親の消息に疑問を持った伯父は青年の許にやってきて弟を連れ去ってしまった。一方、父親の負債の返済を求めて二人組が現れる。弟を取り返すべく動く青年を二人組が追っていく。ペドロ・コスタ長編第1作となる本作はフィルムノワール的風貌を見せつつ、瑞々しく輝く画面が観る者を魅了する。マノエル・ド・オリヴェイラ作品常連のルイス・ミゲル・シントラが重要な役で華を添えている。

*2022年 ヴェネチア国際映画祭 国際批評家週間出品
*1989年 ヴェネチア国際映画祭出品
*1990年 ロッテルダム国際映画祭 国際批評家連盟表彰

 


 

◉『溶岩の家』4Kレストア版

英題:Down to Earth 原題:Casa de Lava
1994年/ポルトガル・フランス・ドイツ/ポルトガル語・クレオール語/110min
出演:イネス・デ・メデイロス、イサック・デ・バンコレ、エディット・スコブ

カーボ・ヴェルデの言葉、習慣、気候、風土__その現実的な生活と歴史を映画に取り込みながら、荒々しい色彩と感情に彩られた記念すべき長編第2作。

看護師のマリアーナは、リスボンの工事現場で意識不明となった男レオンに付き添って彼の故郷カーボ・ヴェルデに向かうが、病人とともに荒野に取り残される。島民に病院まで運んでもらうが島民の誰一人として病人のことは語ろうとしなかった。
本作の撮影後に、託された手紙をフォンタイーニャス地区に届けたことを契機に、“カーボ・ヴェルデから届いた手紙” というペドロ・コスタの重要なモチーフが生まれるきっかけとなった重要作。伝説的女優、エディット・スコブが特別出演している。

*1994年 カンヌ国際映画祭〈ある視点〉部門出品
*1994年 テサロニキ国際映画祭 最優秀芸術貢献賞
*1994年 ベルフォール国際映画祭 最優秀外国映画賞

 


 

◉『骨』4Kレストア版

原題:Ossos
1997年/ポルトガル・フランス・ドイツ/ポルトガル語/94min
出演:ヴァンダ・ドゥアルテ、ヌーノ・ヴァス、マリア・リブキナ、イザベル・ルート、イネス・デ・メデイロス

狭い路地、壁に背をもたせ何かを待つ男と女、行き場のない空気。
リスボンのスラム街フォンタイーニャスで絶望を抱えた人々の息づかいが圧倒的なリアリズムで迫る。

赤ん坊を産んだティナはリスボン郊外にあるスラム街に戻ってくるが、夫は赤ん坊を連れて家を出て行ってしまう。彼は物乞いをし、看護婦のエドゥアルダと知り合い、彼女の家に居候するようになる。ティナの隣人クロチルドは家政婦をしているが、ある日エドゥアルダの家でティナの夫に出会う。スラム街フォンタイーニャスに住む人々を起用し、圧倒的なリアリズムで底辺の生活の厳しさを描き、高く評価された。『ヴァンダの部屋』のヴァンダも家政婦役で出演。

*1997年 ヴェネチア国際映画祭 金のオゼッラ賞(撮影賞)
*1997年 ベルフォール国際映画祭 審査員特別賞

 


 

【特別上映】

◉『ヴァンダの部屋』2Kレストア版

英題:In Vanda’s Room 原題:No Quarto de Vanda
2000年/ポルトガル・ドイツ・スイス/ポルトガル語・クレオール語/178min
出演:ヴァンダ・ドゥアルテ、ジータ・ドゥアルテ、レナ・ドゥアルテ、アントニオ・セメド・モレノ、パウロ・ヌネス

数十人の規模の映画制作に疑問を持ったコスタは小型のDVキャメラを手にフォンタイーニャスに戻り、撮影を敢行。『骨』に出演したヴァンダ・ドゥアルテとその家族を中心に、再開発が進み、パワーショベルによる破壊が進む街に暮らす人々を見つめる。小津、溝口、フォードを想起させるスタンダードサイズの画面と、街に響く破壊音の対比が強烈な印象を残し、新たなドキュメンタリー表現として多くの映画作家に影響を与えた。

*2000年 ロカルノ国際映画祭 ドン・キホーテ賞・特別賞・青年批評賞・最優秀賞
*2001年 山形国際ドキュメンタリー映画祭 最優秀賞・国際批評家連盟賞
*2002年 カンヌ国際映画祭 フランス文化賞・最優秀外国映画作家

 


 

◉『コロッサル・ユース』2Kレストア版

英題:Colossal Youth 原題:Juventude em marcha
2006年/ポルトガル・フランス・スイス/ポルトガル語・クレオール語/155min
出演:ヴェントゥーラ、ヴァンダ・ドゥアルテ、ベアトリズ・ドゥアルテ、イザベル・カルドーゾ

『ヴァンダの部屋』のスラム街は取り壊されて、ヴァンダは新しい集合住宅に移り住んで夫と子どもと暮す。カーボ・ヴェルデから移り住み34年間、フォンタイーニャス地区に住んできたヴェントゥーラ。妻に去られた後、まだ残るスラム街と新築住宅を行き来し”子どもたち”を訪ねる。過去と現在を縦横無尽に交錯させながら、彷徨える魂を描き出す。ヴェントゥーラが繰り返し口ずさむ手紙が感動を呼ぶ。

*2006年 カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品
 


 

配給:シネマトリックス
宣伝:スリーピン