昭和30年代は貧しくも心豊かな時代だったと言われる。
そこにあるのは、誰しもの記憶に焼きついているような懐かしい光景。
日々の家事をはじめ、衣食住は手仕事によって形づくられ、さまざま手を動かしながら関わり合う人々の姿があった。
高度経済成長を経て世の中は便利になり、家事は機械化され、生活から手仕事が少しずつ消えていった。
同時に公害が増え、現在にまで続くエネルギー問題、気候変動の引き金ともなった時代であった。
そうしてたどり着いた今、便利さを追求する一方で、アナログな、手触りのあるモノの良さを再発見する動きも見られるようになった。
記録映像に残されたかつての生活の現場から、これからの暮らしにピッタリなひとコマが見つかるかもしれない。
『スズさん ―昭和の家事と家族の物語―』
貴重な記録映像のなかに
震災・戦争を生き抜いた
母の姿がありました
監督:大墻敦(『春画と日本人』)
公式サイト: https://kirokueiga-hozon.jp/movie/movie-suzusan
出町座にて本特集と同時期上映。
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東京郊外にある小さな家。昭和26年(1951年)に建てられた木造2階建の住宅は、いま「昭和のくらし博物館」となり、当時の人々の暮らしを伝えています。館長の小泉和子さんの実家であるこの博物館には、母・スズさん(1910~2001年)の思い出がたくさんつまっています。娘によって語られる、母の人生。そこには生活の細部に工夫を凝らし、知恵を絞り、家族のために懸命に手を動かしながら生きてきた一人の女性の姿がありました。当時、当たり前に継承されていた経験や生活の知恵は、時代の変化とともに失われつつあります。母から娘へ、娘から今を生きる私たちへ。スズさんが遺してくれた3章からなる物語です。
『母の手仕事-日々の暮らしの記録』
短編プログラムA「岩波映画製作所”主婦のくらし”」
短編プログラムB「桜映画社”都会のくらし”」
短編プログラムC「英映画社”住宅問題”」
短編プログラムD「記録映画社”農村のくらし”」