日時2019.12.14(土)
鼎談 人類学者として芸術にたずさわる/Anthro-film Laboratory 38
発表者
中村冬日(ブリティッシュ・コロンビア大学人類学博物館)
聴き手
佐藤知久(京都市立芸術大学)
川瀬 慈(国立民族学博物館/総合研究大学院大学)
日時:2019年12月14日(土)開場15:20/開演:15:30(〜17:30終了予定)
会場: 出町座 フリースペース
〒602-0823 京都市上京区三芳町133
https://demachiza.com/access
*無料、参加予約等、必要なし。
*ご来場の際は出町座1Fの映画カウンターへイベント参加の旨お申し付けください。
【要旨】
「何を誰が何をもって芸術とみなすのか。」様々な博物館や美術館を訪れ生まれたそんな疑問をきっかけに、人類学的視点から芸術を探索してきました。「人類学の父」と呼ばれるエドワード・タイラーがオックスフォード大学博物館で仕事を始めたことからわかるように、人類学ははじめから「もの」と密接な関係がありました。「もの」が芸術として認識される過程や理由に興味を持っています。学部時代はシュルレアリスムとモダニズムにおける「プリミティブ」と言う概念の研究をし、大学院で始めた現代日本書道の人類学的研究を続けています。その研究を作家とともに展覧会というかたちで、オーストラリア、アルゼンチン、そしてカナダで発表してきました。それと同時に、現代アートの社会的役割にも関心を持ち、徳之島でのアートプロジェクトや、アートギャラリーでのキューレーションにもたずさわってきました。現在は東日本大震災をテーマとした展覧会の準備を進めています。
現在、タイラーのように大学博物館で仕事をする立場から、人類学者として芸術にたずさわるとはどう言うことなのかを改めて考える機会にしたいです。また、芸術と人類学の関係について、参加者のみなさんとの意見交換を楽しみにしています。
【登壇者プロフィール】
中村冬日(なかむら・ふゆび)
芸術人類学と博物館学を専門にする社会文化人類学者。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)人類学博物館(MOA)キュレーター、およびUBCアジア研究学科・人類学学科所属研究者。1992年に渡英。サセックス大学卒業後、オックスフォード大学から修士号、博士号を取得。学位の間に東京で企業勤務、NHKで映画関係の仕事に携わる。オーストラリア国立大学、東京大学、アルゼンチン国立東洋美術館での勤務を経て2014年より現職。多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員(2010〜2015年)。著書には『Asia through Art and Anthropology: Cultural Translation across Borders』(2013年出版、オーストラリア・ニュージーランド芸術学会賞受賞)など。フィールドワークを京都、アルゼンチン、ブラジルで行い、東日本大震災後に長期ボランティアをしたことをきっかけに最近は東北で調査を行なっている。
https://anth.ubc.ca/faculty/fuyubi-nakamura/
佐藤知久(さとう・ともひさ)
文化人類学者、京都市立芸術大学教授
川瀬慈(かわせ・いつし)
映像人類学者、国立民族学博物館/総合研究大学院大学准教授
www.itsushikawase.com/japanese
【本企画に関するお問い合わせ】kawase07@gmail.com
中村冬日「Traces of Words」展にて。撮影:清水優子