シリーズ・健さんの時代
俳優・高倉健。1931年(昭和6年)生まれ、2014年(平成26年)没。愛称、健さん。
1955年、東映ニューフェイス第2期生としてデビューも長年芽が出なかったが、『日本侠客伝』(1964年)の主役で大ブレイク。『日本侠客伝』シリーズ、『網走番外地』シリーズ(1965年〜)、『昭和残侠伝』シリーズ(1965年〜)などに主演し、東映の大看板スターとなる。以降、任侠とアクションを中心に圧倒的な存在感をみせ、実際のやくざから学生運動の若者まで広い層に絶大な支持を受け、文字通り時代を担う。2012年、最後の主演作『あなたへ」まで、『ザ・ヤクザ』『ブラック・レイン』『単騎、千里を走る』など海外の作品もふくめ、数々の映画で“健さん”を体現した。匕首(あいくち)を敵に振り下ろすそのスピード、強靭でしなやかなその肉体、冷静にして滾るようなその眼光、仲間やか弱き者と交わるときの底なしの優しさ、不器用が最大の武器だとでも言わんばかりの台詞回し、すべてにおいてその在りようは唯一無二であり、今後もその魅力は衰えることはないだろう。今回はそのごくごく一部ではあるが、週ごとに健さんの魅力を体感いただける機会となります。7月に出町座で上映した『日本侠客伝』、『新幹線大爆破』も思い起こしながら、ぜひその“時代”を存分にお愉しみください。
上映作品
*すべて高倉健主演作品。各作品画像をクリックで上映詳細ページにとびます。
網走番外地
1965年/東映/92分/監督:石井輝男 ©東映
網走刑務所へ護送されてきた受刑者・橘真一。
ひとクセもふたクセもある強烈な囚人たち!
そして真冬の雪原に決死の脱獄!
健さんの人気を不動のものとした代表的シリーズの記念すべき第一作!
昭和残侠伝 唐獅子牡丹
1966年/東映/89分/監督:佐伯清 ©東映
健さんの代表的シリーズ『昭和残侠伝』のなかでも屈指の傑作と呼び名の高い第2作!
池部良との絡みにゾクゾク。暴れる唐獅子・泣かす高倉!ぐっとこたえる男の魅力!
白木の鞘がまたひと暴れ!唄うぜあの唄、吠えるぜ唐獅子!
幸福の黄色いハンカチ
1977年/松竹/108分/監督:山田洋次 ©1977松竹株式会社
山田洋次監督による、時代を越えて愛される1作。
網走刑務所から出所したばかりの健さんは、
ひょんなことから武田鉄矢、桃井かおりのヤングふたりと旅に出る。
愛のために別れた。そこにまだ愛はあるか。
冬の華
1978年/東映/121分/監督:降旗康男 ©東映
久々に東映作品に戻ってきた健さん、生涯最後のヤクザ役。
兄弟分の松岡(池部良)をやむを得ず殺って、旭川刑務所へ長期の服役。
娑婆に戻ってきた男には、すでに居場所はない。
唯一気がかりなのは、おのれが殺してしまった松岡の、残された娘であった。
鉄道員(ぽっぽや)
1999年/東映/112分/監督:降旗康男 ©1999「鉄道員(ぽっぽや)」製作委員会
浅田次郎の原作短編小説をふくらませた、
北海道はかつての炭坑の町の小さな駅で起こる現代のピュアストーリー。
木村大作撮影による雪の世界の映像美、
広末涼子、志村けんとの共演、坂本龍一による主題歌も話題となった。