月刊ホン・サンス 2025年11月〜2026年3月
いつものあなたも、はじめましてのあなたも、ひさしぶりのあなたも。
監督デビュー30周年。毎月、新作と出会う、5か月のホン・サンス体験。
1996年の長編デビュー作『豚が井戸に落ちた日』から30年。これまで30本以上の監督作を発表し、近年はさらなるハイペースで自身のフィルモグラフィを更新し続けるホン・サンス。韓国のソウルに生まれ、アメリカで美術を学んだホン・サンスは、大作商業映画からは距離を置いた映画の製作体制を築き、ベルリン映画祭での5度の受賞をはじめ、カンヌ、ヴェネチア、ロカルノなど数々の国際映画祭で活躍し唯一無比の存在感を示してきた。その独自のスタイルはまさに孤高の映画作家といえるが、あくまで淡々とおおらかで独自の作品づくりを続けてきた。日常に潜むドラマを鋭く観察し、そこに現れるささやかなずれや揺らぎを、静かに、ときにユーモラスに描く。異邦の地の旅人の小さな冒険譚を、くりかえされる日々のリズムを、そして酒に溺れる人々の滑稽さをじっと見つめる。ホン・サンス監督の姿勢は30年前も今も変わらない。一方で、その製作体制や人々を見つめる視線は時代とともに緩やかな変化を遂げ、ますます多くの映画ファンを魅了しつづけている。謎めいた映画世界に導かれるように、この秋、ホン・サンスの“いま”に出会える、異例の企画がスタートする。2025年11月から2026年3月まで、2023年以降につくられた新作5本を5カ月連続で公開する「月刊ホン・サンス」。これまで数々の作品に魅了されてきたファンにとっても、これからその映画世界に触れる人たちにとっても、5カ月間集中してホン・サンス映画に触れていく新たな入り口になるに違いない。偶然に出会った人々が語らい、道に迷い、酒を飲んではまた語らい合う。果てしないくりかえしのなかから、ふいに見えてくる小さな真実と、美しさに満ちた景色。この独特で不思議な世界は、どんなふうに私たちの生きる日常と重なり合うのか。ミステリアスでユーモアに満ちたホン・サンス映画とともに、世界の新たな見方を発見してほしい。
月刊ホン・サンス
11月 公開 ____『旅人の必需品』2024
12月 公開 ____『小川のほとりで』2024
1月 公開 ____『水の中で』2023
2月公開 ____『私たちの一日』2023
3月公開 ____『自然は君に何を語るのか』2025