2019年に急逝したオランダの映像作家・アーティスト ROSTO の作品が日本で初めてまとめて紹介される。
ROSTO の遺作『四つの悪夢』
短編ドキュメンタリー『すべてが変わったようで、何も変わっちゃいない』
パペット・ミュージカル・アニメーション『ニクスの怪物』
3作品をセット上映!
すべては、ROSTOの頭の中のコンセプト『MIND MY GAP』から始まった。
1990年初頭、自らの製作スタジオ ROSTO A.D’S を拠点にCFやミュージック・ビデオを制作するかたわら作り上げた『MIND MY GAP』短編映画3部作がカンヌ受賞をはじめ世界的評価を浴びたROSTOは、『MIND MY GAP』をミクスド・メディア・プロジェクトとして昇華させ、漫画、アニメ、小説、映像、音楽化した作品群を、当時としては先駆的なオンンラインにて発表し続けた。
また、かつて実在したロックバンド THE WRECKERS を黄泉の国から呼び戻し、『MIND MY GAP』のスピンアウト作品として架空映画のサウンド・トラックともいうべき4部作『四つの悪夢 THE WRECKERS TETORALOGY』を15年の歳月をかけて完成させる。
ROSTO は2019年、病気のため急逝。
彼の死後、友人であり『ユニコーン・ウォーズ』や『LOGORAMA』のプロデユーサーとしても知られるミハエル・シュマーキンが、オンライン・プロジェクト『MIND MY GAP』をXXXPageの特別仕様の書籍としてまとめ上げる。そして『THEE WRECKERS 四つの悪夢』とドキュメンタリーをあわせ、コロナ過のヨーロッパ各国で上映、その早すぎる死を悼んだ。
『THEE WRECKERS 四つの悪夢』は第1回新潟国際アニメーション映画祭のコンペティション部門にて上映、押井守審査委員長はROSTOのマルチな才能に敬意を表し 境界賞 を創設し、賞を授与。また、ラジオパーソナリティの宇多丸氏は同映画祭のラインナップを見て『THEE WRECKERS』の写真のあまりの異様さに声を失った。
【作品紹介】
『四つの悪夢』“Thee Wreckers Tetralogy” 2020/フランス・オランダ合作/45min
ROSTOが約15年かけて作り上げた短編4部作を再編集した作品。彼がかつて在籍していた幻のパンクバンド〈THEE WRECKERS〉の“存在しないレコードのミュージック・ビデオ”として “No Place Like Home”(2008)、“Lonely Bones”(2013)、“Splintertime”(2015)、“Reruns”(2018) の4本で構成される。
1990年代から自らのスタジオ ROSTO A.D’ を拠点に『Mind My Gap』というマルチメディアプロジェクトを展開していたROSTOは、これらの短編を“存在しない音楽映画”として制作した。作品は2019年に病気で他界した後、盟友でプロデューサーのミハエル・シュマーキンが四部作をまとめて再編集し『四つの悪夢』として世界各地で追悼上映された。
第1回新潟国際アニメーション映画祭で押井守審査委員長により新設された「境界賞」を受賞。
ダーク・ファンタジー色の強い映像とノイジーな音楽が融合したミュージックビデオ形式で、幻想的かつザラついた旅路を描く。ROSTOの遺作として評価されている。
『すべてが変わったようで、何も変わっちゃいない』*短編ドキュメンタリー
2020/フランス・オランダ合作/20min
監督:ジョアン・コスタ&ローベン・グラディセン
ROSTO の創作人生を追った作品で、本人やバンド〈THEE WRECKERS〉が登場する。4部作完成の背景や彼の多彩な活動を記録しており、追悼上映に合わせて上映される。
『ニクスの怪物』“The Monster of Nix” 2011/オランダ・フランス・ベルギー合作/30min
監督・脚本・作曲:ROSTOのパペットとCGを組み合わせたミュージカルアニメーション。
のどかな村ニクスで すべてを食いつくす怪物 が現れ、少年ウィーリーがたったひとりで立ち向かう。怪物に連れ去られた祖母を探すため魔法の森へ足を踏み入れ、不思議な出来事に翻弄されながら真実に近づいていく。ウィーリーを助ける臆病なレンジャーの声をテリー・ギリアム、黒い鳥バージルの声をトム・ウェイツが担当する。ROSTO と親交の深いアーティストが声優として参加しており、音楽は彼自身が作曲し、メトロポール・オーケストラが演奏している。
ROSTO が5年の歳月をかけて制作した伝説のパペット・ミュージカル・アニメーションで、彼の代表的な複合メディアプロジェクト「Mind My Gap」のキャラクターも多数登場する。2019年に急逝した彼の才能が凝縮された作品として評価を得ている。
Who is ROSTO ?
オランダ出身の映像作家 ROSTO はグラフィックノベル、音楽、映像を横断した多彩な活動で知られ、カンヌ国際映画祭など多数の映画祭で短編作品が受賞した。1990年代から複合メディア企画「Mind My Gap」を展開し、映像と音楽の境界を曖昧にする革新的な試みに取りくんだ。
ROSTO 追悼上映〈存在証明〉では、遺作『四つの悪夢』、彼の創作人生を追う短編ドキュメンタリー『すべてが変わったようで、何も変わっちゃいない』、そして伝説のパペット・ミュージカル・アニメーション『ニクスの怪物』の3作品が同時上映される。ROSTOの世界観と彼の多彩な才能に触れられる貴重な機会となる。