ノルウェーの港町。
地元の新聞社に記者として勤めるアスタは休職中であったが、夏を迎え、職場復帰する。
彼女を支えながら同棲するガールフレンドのライヴと猫との穏やかな生活のなかでも
アスタにはまだどこか心の不安を払拭できないでいる。

不安定な内面を抱えるアスタとライヴの日々を綴る本作は
ヒューマンポジションを語るにはカメラポジションを定めることに他ならない
明確にそのようにショットを紡いでゆく。

自分自身の現在地を喪失し、自分が立つべき場所を見出すまでの、とってもラブリーな映画。
ライヴが奏でる音楽の愛らしさとあいまって、慎み深い滋味を伴うささやかな感動がここにある。