盲目で車椅子生活のヤーッコは孤独な日々を送っていた。唯一の心の拠り所は、難病を抱える女性との電話での会話。未だ会ったことのない二人は、互いを励まし、惹かれ合っていく。ある日、ヤーッコは彼女に会うため、介助なしで一人旅を決意。その場凌ぎに助けを借りながら、ブラインドマン(盲目の男)の緊張と恐怖の旅が始まる。全編が異常なほどに被写界深度の浅い画面で構成され、フォーカスされるのはヤーッコの身体のみで、その他の世界はすべてぼんやりとした朧げな像しか現れない。あらかじめ提示されたその緊張感が、この哀れなブラインドマンの冒険が進む度、いや増してゆく。原題のタイトル「『タイタニック』を観たくなかった盲目の男」の意は何か?手に汗握るスリリングな描写に、世界が驚いた。乞うご期待。そして、これはぜひ暗闇に覆われたスクリーンで。
2021年/フィンランド/82分
原題:Sokea mies joka ei halunnut nähdä Titanicia
英題:The Blind Man Who Did Not Want to See Titanic
監督:テーム・ニッキ