“女の子”と認めてもらえない7歳のサシャと
子どもの自由と幸せを守りたいと願う母
ひとつの家族の“ゆずれない闘い”を映した心震えるドキュメンタリー
フランス北部、エーヌ県に住む少女・サシャ。出生時、彼女に割り当てられた性別は“男性”だったが、2歳を過ぎた頃から自分は女の子であると訴えてきた。しかし、学校へスカートを穿いて通うことは認められず、社会は彼女を他の子どもと同じように扱わない……。
トランスジェンダーのアイデンティティが、肉体が成長する思春期ではなく幼少期で自覚されることについて取材を始めた監督は、サシャの母親カリーヌに出会った。他の同じ年代の子どもと同様、サシャが送るべき幸せな子供時代を過ごせるよう、彼女の個性を受け入れさせるために学校や周囲へ働きかける。まだ幼く自分の身を守る術を持たないサシャに対するカリーヌと家族の献身、言葉少なに訴えるサシャの真っ直ぐな瞳と強い意志が観る者の心を震わせる。
フィクションからドキュメンタリーへと移行しながら、社会の周縁で生きる人々に光をあてた映画を制作してきたセバスチャン・リフシッツ監督は、カンヌやベルリンをはじめとした世界中の映画祭で高く評価されている。本作も2020年ベルリン国際映画祭で上映後、様々な映画賞を獲得し続けている。また同年12月、劇場の封鎖されたフランスではTV局ARTEで放送され、その年のドキュメンタリーとしては最高視聴率を獲得、大きな反響を呼んだ。洞察に満ちた繊細なカメラで捉える、家族の喜びの瞬間、直面する多くの課題――幼少期の“性別の揺らぎ”に対する認知と受容を喚起する貴重なドキュメンタリー。
2020年/France/85分
原題:Petite fille
監督:セバスチャン・リフシッツ
製作:ミュリエル・メナール
撮影:ポール・ギローム
編集:ポリーヌ・ガイヤール
英題:Little Girl/ 字幕翻訳:橋本裕充/字幕協力:東京国際映画祭
後援:在日フランス大使館・アンスティチュ・フランセ日本/配給・宣伝:サンリスフィルム